春の舞台祭り、前半戦の3作品はかなり共通するところがある。と思う。
見た時に、似てるなーと思った部分とそれらの違いについて私なりに整理しておきたい。
結構真面目に書いてるので温度差すごいかもしれません適度に調節ください。
目次
題:モラトリアム
「モラトリアム」とは青年が大人になるために必要な期間、過程。悩み、悩み、悩むこと、と捉えている。私個人もモラトリアム延長!と思いながら大学に通っている。学生期間はモラトリアムっていうのはよく聞く話でどんな事に対しても悩んでいい、悩むことを正当とするような気さえする。だから悩み、悩み、悩むこと、としたが知りたい人はちゃんと調べてください。ネットにもいっぱい良い文章落ちてるので。
前半3作のキャラクターたちは絶賛学生で、各々に悩みがあったり夢のためにもがいていたりする。侍ってモラトリアム(というツイートを見かけたこともあり、そう)なのかもと思う節もあるため、個人にもより近い視点で「モラトリアム」という観点から話を進めたい。
それぞれの作品の概要
できるだけパンフレットを参考に紹介します。
・ルーザーヴィル
本髙克樹演じるルーカス・ロイドは主人公であるマイケル・ドークの親友。SFオタクの高校生である。そんなにいいヤツではない(本髙評)
転校してきたホリー、策略するエディによって物語が動いていく。演出・表現の観点で説明すると、生バンドを擁する青春ポップロックミュージカル。
・ガーすけと桜の子
矢花黎演じる四季龍之介は小説家を目指していた就活中の大学生。悩みや夢を持った人が集まるたちどまり荘に住んでいる。
四季龍之介に案内されて物語の幕が開くと、桃色と緑の謎の生き物サクラとの出会いに始まり夢や危機に振り回される、ドタバタコメディ。なんとなく絵本っぽい。演出・表現の観点で説明すると、オムニバスっぽいストレートプレー。
・明るい夜に出かけて
今野大輝演じる富山一志は人間関係のトラブルをきっかけに、コンビニで夜勤のアルバイトをしながら1人で暮らしている休学中の大学生。ラジオが好きで、その繋がりから人との関わりを描いた一年分の話。原作の性質上モノローグが多くその部分が歌、コロスによって補われている。演出・表現の観点で説明すると、歌ありラップありダンスあり、でもストレートプレー。
空間と孤独
ルーザーヴィルを見た時、1幕終わりのルーカスソロからのシーンでルーカスは空間的に孤立させられていた。その印象が強かったため、空間に重きを置いてそれぞれの舞台をかんがえる。
・ルーザーヴィル
前述同様、1幕終わりのルーカスのシーン。マイケルがホリーと付き合ってから、1人になることが増えた。ソロでは孤独になったことや、「ホリー俺と付き合ってくれ」と歌う。
テーマ曲を全員で楽しく歌う中、ルーカスはずっと混ざることはできない。1人だけせり上がったステージにいるから。空間の壁は大きくて、それが孤独を表している。大きな不安を抱えて終わる1幕だった。
・ガーすけと桜の子
空間によって孤独を感じさせるような演出はなかったが、この舞台ではステージ上にずっとたちどまり荘のセットがある。4分割の部屋は個々の空間で、それぞれがフィーチャーされるときのフィールド。それぞれが“個”である、のかもしれない。繋がった空間のリビングとは対照的である。この空間の使い方、構成みたいなものからオムニバスっぽさを感じるのかなと思った。(ぶつ切りの話とまではいかないけど、主人公に注視していれば良いだけの物語ではないので)こういうところがちょっと私には合わなかったのかなと思う(演劇に対する理解の違い)
・明るい夜に出かけて
空間を使った演出としては富山の心の表現の部分が大きいと思う。小劇場演劇で、舞台上のセットは常にある複数の棚(ラック)と随時出てくるレジの机、ラジオブース、椅子くらい。多分しっかり触れられている部分では、富山を中心に放射状に棚が囲んでいる時。富山の孤独は閉塞的(なんならそれ故)。(間からコロスが出てくるのでその演出のためというのは絶対にあるけど)他のシーンでも、棚が富山を囲むような配置になることがあった気がする。部屋の壁以上の役割を持つこともあるなかもしれない。
また、きっとこの作品のメインとなるシーン、冒頭そして鹿沢の配信の後にくる橋のシーン。冒頭ではステージ上に2人。後半では棚の上。後半のシーンは大きな盛り上がりを見せる部分で、役者も総動員。2人が棚の上にいることで空間を分けている。絶対飛び降りるだろうな〜って見てて、降りたからサイコーだった(関係無)降りてから、2人も盛り上がりの中へ。歌っている彼らは当人というよりはエンドロールの役者みたいだと思った(歌詞は富山の心情・地の文からの引用ですが)。
閑話「アンサンブル」
アンサンブルは舞台装置の一つであった(舞台装置というか「明るい」からお借りしてコロスですね)。「ルーザーヴィル」と「明るい夜に出かけて」はこの点で共通する部分があった。ルーザーヴィル見て結構すぐ明るい夜に出かけてを見たので、外部の演劇ってこんな感じかな?と思ったけれどそういうわけでもなかったのはガーすけを見てわかった。まとまりがねぇ。
アンサンブルって世界観をつくる人たちだなーと思ったけれど、きっとコロスの説明に集約されるのでここまで!
それぞれの人物の成長・・・?
・ルーザーヴィル
彼にとっての人生と言っても過言ではない小説、一度は捨てられてしまったそれを拾って面白いとまで言ってくれたレイア姫。王道展開っちゃそうだろうなという気もするが、新しい恋にちゃんと進んでいけるといい。(裏切られた歌のあたりから察した思っていた通りの流れすぎて感想を覚えていません懺悔)
・ガーすけと桜の子
諦めたフリをしていた小説家の夢を、思い出し、(形は少し違うけれど)掴む。まだまだ足りないところはあるけれど、夢に挑戦することを選んだ。個人的には父とのシーンが印象的なので少し。来宅の際、父は龍之介の心が分かるというような部分があったり小さい頃の夢、作った話を覚えていたりする。こういうのが思春期とかの成長には結構重要なことなんだろうなという気がする。
・明るい夜に出かけて
富山もきっとわかっているけど、問題は解決していない。これからもたくさんの課題と出会うだろう。でも富山の心には「明るい夜」があって語り合った人がいる。大丈夫かは分からなくても、自然な流れに身を任せることはもう怖くはない、そんな富山ならまたこの先悩むことがあっても進んでいけるんじゃないかと思う。
7 MEN 侍とモラトリアム
まだまだ沢山悩んでいる過程、だと思う。試行錯誤を見られて贅沢だなって思う。Zeppの時、きっと彼らならもっと凄いところに連れて行ってくれるという予感がしたのも込で、かなり完成形が見えてきているんだろうと思うが、Zeppスタイルが完成形かというと、分からない。やっぱりアイドルなので。
深いこと言えません弱っちいので。私にできることは信じることだけなので。彼らにも私たちにも、明るい未来が見えているはず。